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【トラブル対応】
Q1GPS受信機のキャリブレーションの方法
A

 発注者が指定する工事基準点等にGPSアンテナを設置し測位を実施する。GPS基準局からの補正情報により求められた座標が許容範囲内であることを確認する。(許容範囲は発注者の指示による)
 なお、GPS機構における基準局設置後の確認測量の許容値は、水平=1cm+2ppm×DL、鉛直=2cm+2ppm×DL(DL=与点~基準局の距離)としている。

例 DL=2.0km:水平:1cm+2ppm×200000cm=1.4cm、許容値は1.4cm
例 DL=2.0km:鉛直:2cm+2ppm×200000cm=2.4cm、許容値は2.4cm



Q2機器が動作しない、POWERランプが点灯しない、座標が表示されない場合の対応
A
  • 補正情報受信機の結線は良好か確認(配電盤の結線、GPS受信機の接続状況、アンテナ取付け状況)
  • 各補正情報受信機の取扱説明書に則った確認

例1 FURUNO「補正情報受信機」取扱説明書

「正常にデータが受信できていないと思ったとき」
「それでも故障かなと思ったとき」

例2 FURUNO「テレメータ受信機GS-3001」扱説明書「8.総合解説図(別紙)」

「LED表示の意味」


Q3基準局の補正情報が受信できない場合の対応
A
  • GPS基準局の利用申請は提出済みか、利用開始日・終了日は合っているか確認
  • 各種接続ケーブルやコネクタ類に破損や劣化はないか確認
  • 補正情報受信機の初期設定が正しいか確認(移動局設定、通信速度、基準局チャンネル、パスワード等)
  • 補正情報受信機に不具合はないか、ランプの点灯状況などを説明書に沿って確認(補正情報受信機の結線及びPOWER:ONの確認)
  • 周辺の建物や建設機械(重機・作業船)などが無線電波の障害物となっていないか確認

※上記で解決しない場合、GPS機構へ電話でお問い合わせください。
 補正情報が受信できない場合、ご連絡いただいた時点で、GPS基準局について作動状況を確認します。移動局側の捕捉衛星数の不足や機器の不具合が原因の場合も、原因の特定と対策について助言いたします。


Q4特定の係船基地における補正情報受信トラブルについて
A

 袖ケ浦港の奈良輪係船基地(千葉県袖ケ浦市)は、観音崎GNSS基準局、横浜南本牧GPS基準局、横浜大黒GNSS基準局、川崎GPS基準局等のサービスエリア内にあり、基準局から送信される補正情報が利用できる。
 奈良輪係船基地において、ある作業船が現地工事前の基準局システムの確認試験を行った際に、観音崎GNSS基準局や横浜大黒GNSS基準局等の補正情報が受信できない事例があった。一方、同時期に隣接して係留していた他の作業船において、同様の補正情報の受信試験を行ったが、全ての基準局からの補正情報を正常に受信した。
 これら事例から奈良輪係船基地では、作業船の係留場所によっては、隣接する他の作業船等が障害となり電波を妨げ、補正情報が正常に受信できないケースが確認された。



Q5補正データは受信しているがRTK測位ができない(FIXしない)場合の対応
A

 RTK測位ができない(FIXしない)原因として、衛星の配置状況によるGPS衛星の捕捉数不足が考えられる。補捉衛星数は足りているか、衛星の配置は良好かを、GNSS衛星サイト等を利用して確認する。

GNSS View https://app.qzss.go.jp/GNSSView/gnssview.html?t=1594975253861 

 基準局と移動局で補正データの標準フォーマットRTCMのバージョンが一致していないと、RTK測位ができない。GPS基準局はRTCM2.1で、GNSS基準局はRTCM3.2で放送しているので、移動局のRTCMバージョン(メジャーバージョン)を確認し一致させる。

 RTK測位が不安定になる要因としてGPS受信機の雑音があり、GPS受信機本体やGPSアンテナの不調、接続ケーブルやコネクタ類の劣化や断裂等を確認。原因となる機材を特定し、良好なものに交換することで改善が見込める。

 東京湾など、海域によっては、GPS衛星の配置状況等により、短い時間(数分~数十分)の測位信頼度低下(FIX解から外れる)があり、RTK測位が不安定となる場合がある。複数衛星システムのGNSSで対応とすることで、利用衛星数が増え有効な対策となる。

 GPS基準局を利用するために、GNSS受信機のGNSSモード(GPS・GLONASS対応)を、GPSモードに設定変更したユーザーにおいて、GPS捕捉衛星数が少なくなる時間帯にRTK測位ができないトラブルが発生した。GNSSモードでは、初期化(RTK測位の開始)に必要な捕捉衛星数は6に設定されているが、これをそのままGPSモードで使用したため、特定時間帯において初期化に必要なGPS衛星数が捕捉できなかったため。
 GPSモードでの初期化の補足衛星数を5に再設定することで、本トラブルは解消した。(なお、GPSモードの場合、一度初期化されると捕捉衛星数4個でRTK測位は維持される)



Q6補正データ受信機を新型等に交換したら受信できなくなった場合の対応
A

 補正データ受信機等の機器を交換した際は、従来と同じケーブルやコネクタがそのまま使用できない場合があり、ケーブル、コネクタ、受信機のスイッチ、ソフトウエアバージョンなどを確認し不具合個所を特定することで機器交換など対応できる場合がある。

 補正データ受信機の交換後に受信できなくなり、ケーブルの接続を確認して正常に受信できるようになった事例がある。また、GPS受信機とパソコンを繋ぐRS232Cケーブルをストレートからクロスケーブルに交換して補正情報が正常に受信できるようになった事例がある(これは受信機の取扱説明書に、詳細な記載がありません)。※ご不明な点はメーカーや代理店へお問合せください。



Q7GPS基準局利用で測位したが「座標が合わない」「誤差が大きい」場合の対応
A

 キャリブレーションの際に、基準点に設置したGPSアンテナにズレはないか、提供された基準点の座標値に相違がないか確認が必要である。

 GNSSアンテナ・GNSS受信機での捕捉衛星数の不足等により、RTK-GNSSの精密解(FIX解)から外れ、FLOAT解、DGNSS、単独測位となり、測位精度が低下する。

 RTK-GNSSの測位精度は、水平:±(1cm+2ppm×基線長D)、垂直:±(2cm+2ppm×基線長D)などで示される。また測位精度は、衛星の幾何学的配置の状態により左右される。
 衛星の幾何学的配置による測位精度低下を指標化したものをDOP(Dilution of Precision、精度低下率)といい、DOPは衛星配置が広く分散していると値は小さくなり、高い測位精度が得られる。
 例えば距離に対する測定誤差では、DOPの値が1から2に増えたら測位誤差は2倍程度になるとされる。
 GNSS(複数衛星システム)では、衛星数の増加により、DOPを改善する効果がある。

 GNSS受信機に対し、直接到達する電波以外に建物や地面から反射した電波により、マルチパス干渉が起こり、測位精度が低下する場合がある。周辺の高い建造物等に注意が必要となり、また地面からの反射であれば、GNSSアンテナの直下に金属板を設置することで影響を低減できる場合がある。
 この他に、衛星時計の誤差、衛星軌道の誤差、電波の電離層遅延、電波の対流圏遅延などが誤差の要因として影響する。



Q8土日祝日・夜間の問合わせ先
A

 GPS機構への土日祝日、夜間の電話は「神戸監視センター TEL:078-381-6424」へお掛けください。出ない場合は時間をおいてお掛け直しください。
 それでも繋がらない場合は「海上GPS利用推進機構 TEL:080-2085-8183」へお問い合わせください。
※補正情報受信の不具合について対応可能です。機器の不具合については、それぞれ機器メーカーへお問い合わせください。